歯周病治療について

歯周病の怖さ

歯周病は、歯周病菌によって歯を支えている骨が溶かされてしまう病気です。
自覚症状がないまま進んでしまうため手遅れになることも多く、歯を複数失ってしまうことにもなりかねません。自覚症状がないが故に、当院にお越し頂いた際はすでに手の施しようがない状況になっていることも少なくありません。
しかし、歯周病の怖さを理解できている方が多いとは言いがたく、患者さんの中には「歯周病になったら治療で元の状態に戻せばいい」と考えていらっしゃる方も多いようです。実際には一度溶けてしまった骨が元に戻ることはなく、「こういう状態に戻して欲しい」と思ってもそれができないことの方が多いというのが正直なところです。
歯周病の治療・予防においてはその怖さを知って頂くところが第一歩だと考えておりますので、当院ではまず歯周病の本当の怖さを患者さんにきちんとご説明して、歯周病治療に対する意識を変えるところから始めています。

普段から歯周病ケアを行っておくことの大切さ

歯周病は自覚症状がないため治療せずに放置してしまう方がたくさんいらっしゃいますが、重症化してからの治療では通院回数も治療費も増えていき、しかも元に戻すことはできません。
実は、その歯周病菌はお口の中に10年前から口の中に存在していることもあり、発症して骨が溶け出したり歯茎が腫れたりするまではレントゲン検査などをしても分かりません。だからこそ、常に歯周病ケアを欠かさないようにし、できるだけ発症を抑え、万が一発症してもすぐに発見できるようにしておく必要があるのです。

歯周病による全身への影響

歯周病は、歯を支えている骨を溶かしてしまう病気ですが、全身疾患との関係性も明らかになっています。 歯周病菌が歯茎の毛細血管から体内に侵入して、糖尿病を悪化させたり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になったりします。また、妊婦の方が歯周病になると、ホルモンバランスが崩れて早産になるリスクも高まります。身体全体の健康のためにも、しっかりと歯周病治療を行っていきましょう。

歯周病治療の考え方

勉強会などにも参加して歯周病について学び、経験を積んできました。その中で思ったことは先にもお伝えしたように歯周病は本当に恐ろしい病気であるということです。治療の前に、まずはそのことを患者さんに理解頂き治療を開始します。

お口の中の歯周病菌を取り除くことが基本的な歯周病治療です。
そして、そのためには歯のすべての面をきちんと磨くことが重要で、特に歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」をいかにきれいにするかがポイントとなります。
歯周ポケットは通常2〜3ミリ程度ですが、歯を支えている骨が溶けて下がってしまうことでポケットが深くなっていってしまいます。歯周ポケットが深いままでは歯磨きできれいにお手入れをすることが難しく、歯周病がどんどん進行していってしまいますので、歯茎を切除して歯石を取り除く、骨を再生させる、もしくはその両方の治療を用いて歯周ポケットを浅くします。

正しく知っておきたい「歯茎」のこと

みなさんは、「歯茎」と聞くと、どの部分をイメージしますでしょうか?
実は歯茎は柔らかい肉の部分「歯肉」と、その下にある骨「歯槽骨」からできています。つまり「歯茎を治す」と言う時は、歯肉と歯槽骨の治療のことを指しています。歯槽骨は場所によってはしっかりと厚みがあり、場所によっては紙一枚分くらいしかないところもあります。歯周病によって大切な歯槽骨が溶けてしまうことがないよう、予防と早期治療に取り組むようにしましょう。

歯磨きしやすい環境を作る

歯のお手入れの基本は毎日の歯磨き。
これは歯周病ケアに関しても同じです。そのため、いかに歯磨きがしやすい、歯磨きが行き届く環境を作るかが大事です。歯周ポケットを浅くするのはそのための方法の一つで、他にも歯と歯の間隔を少し広げる治療などがあります。そしてご来院された際には歯磨きについての指導をさせて頂き、磨き残しのチェックをしています。
患者さん一人ひとり歯の生え方や生活習慣や年齢が異なるため、歯磨きの時に気をつけるポイントも違います。
当院では、その人に合ったメンテナンスプランをお作りして、定期的に歯磨きの質が下がっていないかを確認しながら、継続して適切なお手入れができるようにしています。

メンタルや生活習慣のケアも

ストレスが溜まったり睡眠不足になったりすると、細菌に対する免疫力が低下して、急激に歯周病が進行することがあります。
また、精神的な問題や他の病気による手の痺れで歯磨きの質が低下してしまうことも珍しくありません。だからこそ、定期的に歯や骨の状態を確認して、その時その時、最適な治療を行うことが重要になります。

噛み合わせの治療を行うこともあります

当院では、歯周病治療と並行して、噛み合わせの治療も行っていきます。
すべての歯に均等に力がかかっている状態が理想的ですが、いつも右側の歯で噛むなどの癖があると、歯の当たり方が偏り、歯と歯を支えている骨に負担がかかってしまいます。
治療方法としては、一部の歯を削ることで歯の当たり方を変える、寝る時にマウスピースを装着して頂くことで就寝中の歯への負担を減らす、被せ物を作り変えるなどがあります。

骨の再生療法

歯周病によって溶けてしまった歯は、自然治癒によって元に戻ることはありません。
しかし、重症化する前であれば再生療法を用いてある程度は骨を増やすことができることもあります。
ただし、この方法を用いれば必ず元に戻るというわけではなく、歯や骨の状態によっては再生療法自体が適用できないこともあります。やはり、骨が溶けてしまう前に食い止めることが重要です。
(1区間5〜10万円程度 ※税抜き)

麻酔をして歯周ポケット深くの歯石を除去された方へ

  • 麻酔をして歯石除去をした場合は、唇や頬がしびれていますので、食事の際には噛まないように気を付けてください。
  • 歯石除去後の歯磨きは、歯ぐきを治療するためには特に重要です。時間をかけて、丁寧に磨いてください。
  • 歯間ブラシや、シングルタフト歯ブラシも丁寧にしてください。
  • 麻酔が切れると、歯ぐきがヒリヒリと痛みが出る場合があります。あまり痛む時は、痛み止めの薬を処方いたしますので、申しつけてください。
  • 歯周ポケットに毛先をしっかり入れることを特に心がけてください。

歯周外科手術を受けられた方へ

  • 治療後麻酔が切れた時が最も痛みが強く出ます。そのために、あらかじめ痛み止めのお薬を飲んでおくとよいです。
  • 食事をする際に、治療した付近では、なるべく噛まないように気をつけてください。
  • 食事もなるべく小さく切って、少しずつゆっくりと食べてください。
  • 腫れたり、口が開けにくくなったり、唾を飲むとのどが痛むこともありますが、傷口が治るにつれて徐々に症状は軽くなります。
  • 顔を洗ったり、ひげを剃るなどのときも、治療した部位はあまり押さえないように充分に気をつけてください。
  • 治療した部分は歯ブラシで磨けない場合は、消毒用のうがい薬を処方いたしますので、1日に5回程度ブクブクうがいをしてください。
  • 約1週間後に糸を除去します。

歯を残すかどうかの判断

歯周病が進行してしまうと、歯を抜かなければならなくなってしまいます。その際、どのタイミングで歯を抜くのかの見極めが重要になります。もちろん、できるだけ歯を長持ちさせることを目指し、患者さんもそれを希望しているはずです。
しかし場合によっては細菌に感染した歯を無理に残しておくことで、他の歯を失うリスクがより高まってしまうこともありますので、そのような場合には歯を抜いた方が良いと判断することもあります。歯周病やむし歯菌に侵されている歯が感染ルートになって他の歯にも悪い影響を及ぼすこともあるためです。
とは言え、当院が一方的にその判断をして押しつけるのではなく、きちんと患者さんと話し合いをしながら、双方が納得のいく治療を進めていくことを大切にしています。

歯周病治療は良い習慣づくりから

歯周病治療は、いかに良い習慣を身につけるかが重要になります。
お酒を飲んだ日は、つい歯磨きをせずに寝てしまうという方もいらっしゃるかと思いますが、そういった時にいかにきちんと歯磨きをするかで差がついていくものです。そして、良い習慣づくりをするためには、まず歯周病に対する正しい知識を身につけることが必要です。
歯周病の恐ろしさを知って頂き、適切な治療、お一人おひとりに合った予防プログラムを組むようにしています。歯科医院での取り組みだけではなく自宅でのケア、生活習慣も大切になるため正しい知識を身につけ、正しい歯周病ケアを行えるようサポートさせて頂きます。